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畜産 渡邊 広輝さん

家族3人で180頭の牛を管理
マイペースに自分でできるところが魅力

農家さんの紹介

 渡邊広輝さんは、鳩原地区の畜産農家です。祖父から事業継承し現在就農4年目で、180頭近くの牛を飼育しています。(令和5年1月24日当時)

就農されたきっかけを教えてください


渡邉さん

美容師専門学校に通い、美容師免許を取得した後に美容関係の職場を探していたタイミングで実家から農業の手伝いを頼まれたことが初めのきっかけでした。
 当初は家族も自由な気持ちでやってくれという感じだったので、元々なりたかった美容師になるつもりでいました。手伝いとして続けていたものの、時間を経るにつれてやりがいを感じることが多くなり、農業を仕事にしたいという思いが強くなっていきました。
 自分で自由にできることも魅力でしたね。
 家族からもやってみろと背中を押され、4年ほど前に始めました。

実際に就農されて直面したギャップ、大変な事はありますか?

そうですね、例えば子牛は発熱や下痢など、成牛に比べて病気に罹りやすいため手がかかります。加えて夜中の助産などいつ発生するのか予測できないことが多々ありますので、突発的な対応が必要なことを考えると、拘束時間が長いという点は大変です。
 あとは、体力面ですね。牛の餌は手で運ぶので重いし、敷地内を多く歩くので思いの外重労働です。
 また、朝も毎日5時くらいに起きます。就農前の生活と比べて時間面でもギャップを感じました。「どうしてこんなに朝が早いのだろうか。もう少し遅くてもいいのでは」と思う事もあったのですが、毎日の栄養状態を見るという観点で早朝は事故が少なく、その他にも様々メリットがあって、早朝作業は欠かせません。
 いずれにせよ、会社員のように毎月決まった時間、給料ではありませんので、自分の努力次第、やった分だけ結果に跳ね返ってくるという意味ではとてもやりがいを感じます。

牛は何頭ぐらい飼育されているのですか?

手が回らない状態にならないように子牛など含め、総数180頭ほど飼育しています。基本的には私と祖父、叔父の3人で飼育しています。

3人で180頭は大変ではないですか?

餌やり、堆肥出し、掃除など確かにやることは沢山あります。
 うちでは肥育牛と繁殖牛とを一環で行っていますので、毎月のように子牛が産まれます。当然その都度、助産が必要です。時間帯にもよりますが出産が夜中だと、祖父、祖母と私の3人で助産を行います。自然に産まれれば手のかからないこともあることはありますが、引っ張ってあげたりしないといけない時があるので必ず出産に立ち会います。

自然に生まれることもあるのですね


かわいい子牛

朝、見に行ったら産まれていたということもあります。
 ただ、膜が被ったままだった、呼吸ができていなかったといった状況もありえますので基本的に助産は必要です。「牛温恵」という、破水した時に携帯電話に通知を送ってくれる機械も導入しているので、その通知を見て現場にかけつけることもあります。

初めて出産に立ち会った時は感動しましたか?

就農当初、出産の瞬間に間近で立ち会ったのはやはり感動しました。「こうやって産まれてくるのか」と思いましたし、可愛がっている牛を出荷する時にはとても心が痛みました。
 実際に出荷する時に牛が鳴くことがあります。牛の悲しい気持ちが私にも伝わってくるのですが、「美味しく食べて頂く」という事が目標なので、感謝の心を持って、より美味しいお肉に育つよう努めています。

飼育する上で他に工夫されている事はありますか?

牛同士、餌の取り合いなどで喧嘩をすることがあります。見かけたら気の弱い牛を助け、距離をおいてあげるようにすることや、朝の餌をあげた後にしっかりと掃除をして、より食べやすくなるよう細やかな気配りをするようにしています。
 その他にもこまめにビタミン補給をしたり堆肥が溜まってくる場所に糠や藁を敷き詰めたり、できる限り牛たちのストレスが少なくなる環境を作ってあげることを意識しています。
 細かな要素の積み重ねによってお肉の品質は変化していきますので、総じて目の行き届いた管理は重要になっていきます。

動物好きという方には興味が湧きやすい仕事でもありますね

逆に言えば、動物が好きじゃないと絶対にできない事でもあります。
 餌をやるにしても、堆肥を出すにしても、かわいいと思えるからこそできる事であって、前提として、本当に好きじゃなければできないと思います。
 最初は「かわいい」でいいと思いますね。
 私自身それがあるので、苦労にも耐えられると実感しています。

農業をするにあたって大切にしていることはなんですか?

人との繋がりは非常に大事ですね。藁を貰ったり、糠、草をあげたり、物々交換ではありませんが農業は横の繋がりによって成り立っている側面は非常に強いと思います。
 牛を飼う人同士で血統のことや、どのような餌が適しているかなど、情報交換もよくしていますし、そういった切磋琢磨や試行錯誤によって、よりよい仕事に繋がっていくと考えています。

今後の目標はありますか?

目標はお肉の品質を上げていきたいということが一番です。
 より美味しい肉を出すという点では、最高ランクを常に追求しています。毎年の出産サイクルを意識して好循環を生む経営の方法を模索していきたいと考えています。
 そして、牛を死なせないことです。死亡事故が起きないように見回り等の管理を徹底して行っていきます。

最後に就農を考えている方に向けて、アドバイスをお願いします


牛舎の様子

動物が好きで、時間に縛られたくない人には非常に向いていると思います。
 やるべきことをやっていれば基本的に自由ですので、午前中にどこかに行きたいと思えば行けます。そういった点では会社員にはできないことができる、融通が利くという点はとても良いなと思います。
 農業は自由な側面がありますので、自分なりのやりがいを発見しながら挑戦して頂ければと思います。





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