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角田市農業振興公社  〒981-1505 宮城県角田市角田字大坊41
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 面川 大明さん

親から継いだ土地、会社も経営

農家さんの紹介

 面川大明さんは、北郷地区の米農家です。広大な土地にひとめぼれやだて正夢の作付けを行っています。大学院卒業後、建築会社で務めたのちUターン就農。現在就農8年目になります。(令和5年1月24日当時)


面川さん

就農されたきっかけを教えてください

我が家は面積50haの田んぼを持っている農家で、約200年代々この土地と家業を守り紡いできました。
 就農以前は東北工業大学大学院卒業後、東京の建築会社で勤務していました。
 家業を引き継ぐことについて家族と話し合いをした際に、地元である角田を思い、「やらなければ」という使命感に駆られたことが一番の理由でした。

実際に就農されてみてのやりがいや体験を教えてください

なんといってもきれいな景色、大自然の中で仕事できることが一番の魅力です。
 また、栽培はもちろんのことですが、販売にも力入れていますので、栽培から販売まで自分の裁量、責任で仕事をするということには苦労しました。
 自分次第で結果に直結するので農作物の管理、品質向上、販路の確保など、一つ一つに責任感を持ち仕事をしています。
その苦労がこの仕事の面白さ、やりがいに繋がっている所でもありまね。

やはり管理の仕方によってお米の出来栄えが大きく変わるのでしょうか?

そうですね。
 やればやるだけ良くなる訳ではないのですが、管理が甘くなると、当然出来栄えに影響が出てしまう。自然が相手ですので、その年によって天候や気温など様々な要素が変わります。その都度適切な対応が必要です。
 サラリーマンと違って一定のリズムではなく3月~6月は忙しく、1月は仕事が少ないため、忙しい時には集中して仕事をし、休む時は休むというリズムが個人的には好きです。

販路開拓をする際に意識されていることや、工夫していることはありますか?

先代は早くから自分で作ったお米を販路開拓しながら経営していました。
 それを参考に、私も東京の商談会などに足を運び、販売の地域開拓をしています。
 県外に足を運ぶと他の商品と強制的に比較されます。
 そこで自分のお米のいい点、悪い点を客観的に把握することで今後の課題に気づくことができますし、もっといいお米を作りたいというモチベーションにも繋がります。
 もっとより良いもの作っていきたい、消費者の方々に喜んでもらうためにはどういうものを作ればいいか、常日頃考えていますね。

新規就農でお米の栽培を考えた時に気をつけるべき点はありますか?


インタビューの様子

お米は他の農作物と比較すると栽培する面積が大きく、一定規模の農地確保が必要です。
 生産量に比例して利益率も変わってきます。必要な田んぼの面積はどれくらいなのかなど地権者の理解も含めた計画を立てることが重要になります。
 栽培、販売、お金の管理など、利益を出すために短期的にも長期的にも事業を数字で捉え、そこから生産物に対する栽培の目標を立てるといった経営的な視点もかかせません。

 加えて初期投資。機械を揃えるための投資が恐らく他の作物に比べて高くなります。コンバイン、トラクター、お米を乾燥調整する設備など多岐に渡りますので、お米で新規就農したい場合は、現在は雇用就農してからの独立が主流になっています。

 法人農家は増加傾向にあるので、栽培の基本的な技術や経験を積みながら、独立していく方法が手堅いのではないかと思います。就労した法人の雇用主が理解のある方であれば、経験を積みながら、将来的に農地を分けて頂ける可能性もあります。

 自治体からの新規就農支援も手厚いので、そういった点も考慮した方が視野も広がり、冷静に判断する材料になります。角田市でいえば市役所も本当に熱心に対応してくださるので、そういった意味ではいい環境です。

角田市で農業をやる魅力を教えてください

阿武隈川から形成される肥沃的な大地が米作りにとても適しています。土の質は米作りに大きな影響を与えますし、平地が多いというのも利点です。実際美味しいお米がとれるというのは毎年身をもって実感していますね。

 人の面で言えば、近くの田んぼを周っていたりするとアドバイスをくださる面倒見のいい先輩方が沢山いるので、新しい知識や自分の経験で足りない部分を補える環境だと思います。私も日頃から勉強させていただいていて、分からない事があったら聞くようにしています。
 加えて、非常に熱心な市役所の職員さんや農業公社もあり、農業に関して利用できる制度があれば教えて頂ける体制が整っていることも魅力です。

就農するにあたって人との繋がりは大事だと思いますが、全く知り合いがいない土地で新規就農することについてはどう思いますか?

知り合いがいるに越したことはありませんが、前提として「作りたい作物がその土地に合っているか」ということが大切だと思います。栽培を検討している土地で「周りに同じ作物を栽培している人がいるか」という点はぜひ事前に調べて頂きたいですね。 その土地で育てたい作物、品種を育てている人が誰もいなければ、品種に合わない土地かもしれないということも視野に入れる必要があると思います。
 逆に育てている人がいる場合はそこで栽培できる可能性がありますし、アドバイスを聞くこともできます。 そういった観点から知り合いの有無以上に作物がその土地で育つのに適しているのかどうかという点は非常に重要だと思います。

農業を始めるにあたり気をつけるべき点はなにがありますか?


お米の倉庫

農業といっても、消費者の方々に選んでいただけるものを作らなければいけません。
 事業としてきちんと計画を立て、しっかり利益をあげていくという視点が大切です。
 始める前、始めた後も考えていかなければいけないと思います。
例えば、一日に何千、何万台という数を生産するような自動車の製造などと違い、作物の生産スパンは長いので、中長期的な視野が大切になってくるんです。

 私も本当にお米でいいのか、麦や大豆などの他の作物をもっと幅広く展開した方がいいのではないかといったことを考えたりすることもありますし、農政的に補助が手厚い作物もあります。
 他にも様々な方法で農政に合わせて利益をあげる工夫をしている方もいますし、私のようにお米にこだわって、付加価値を高めることで評価をもらい、伸ばしていくという方法もあります。「農業は自由なんだ!」という魅力を伝えたいですね。
 自分の決めた枠組みの中で、どれだけ自由に、責任を持って農業に携わっていけるかというのは大切な考え方だと思います。

将来の目標はありますか?

個人的な目標は、日本全体の米の需要を上げるということです。
 一番はお客さんの満足度を上げること。
 そのために日々いろいろな実験、試行錯誤を繰り返しながら、お米の品質を高めて安定的に経営できる作物をしっかりと作り込む事を意識しています。
 良いものを作り、消費者の方々が「お米ってこんなに美味しんだ」と思ってもらう事によって、日本全体のお米への関心を上げることに貢献できればと考えています。

 時勢として、共働き世帯が増えたことにより、自炊で米を食べるというハードルが高いものになってきているのではないかと感じています。時間に追われている中でお米を研いで、炊いて・・というのは正直手間がかかりますよね。そういう方向けにお米を、麺にしたり、米粉にしたりして加工品として商品を作ってみたいという思いもあります。
 ただ、最終的にはお米そのものとして食べて欲しいという気持ちが強いので、軸としては良いお米を生産して販売するという過程を大事にしていきたいです。
 最終的にもっと”お米を普及させる”という目標に近づいていけるような形で試行錯誤しながら活動していきたいです。

最後に新規就農の方にメッセージを

どんな仕事であれ、志や目標がなければ長続きしません。
 「農業をやりたい」という強い気持ちを持ってチャレンジする方々が出てきてくだされば嬉しいです。
 周りの農家さんたちもそういう方々に刺激を受けることでモチベーションにつながると思いますし、私自身もそういう新しい方と積極的に関わることで一緒に成長していきたいと考えています。
 農業を通じ、地域や社会へ貢献される新規就農者の方々の一助になれば幸いです。



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