大泉太貴彦さんは角田市枝野地区舘島田生産組合の従業員です。ネギと梅干し部門を担当されていて現在就農3年目です。(令和4年12月21日当時)
主な生産作物は、米、麦、大豆、ネギ、紫蘇の他に梅をはじめとした果樹を栽培しています。他にも加工品で、ネギをピリ辛漬けにした「ネギ彦くん」という商品と梅干しも生産しており、特に梅干しは年間5.5トンも生産されています。合計作付面積は46ha。役員は5名で正社員は3名、パート・アルバイト含めて全体で30名いらっしゃいます。
就農しようと思ったきっかけを教えてください
僕は元々神奈川県出身で、東京でずっと不動産の仕事をしていて、結婚を機に妻の実家がある角田市に移住を決意しました。元々、大学の頃から農業というものに興味があったことと、生活の安定を見込んで就農の中でも雇用就農に決めました。
農業に興味があったという事ですが何か研修を受けたりしましたか?
就農にあたっての研修は全く無く、ほぼ素人から始まりました。あるとしたら学生時代に個人農家さんのパイプハウスで半年間バイトしたくらいです。
個人農家よりも雇用就農を選んだ理由をもっと詳しく聞いても良いですか?
そうですね。結婚もしていますし、今後の生活を考えたときに個人農家より雇用就農の方がリスクが少なく安定した生活ができると考えました。特に法人化している所の方がより安心安全かなとも。
法人で農業している所は規模が大きいので経営が安定しているし、国も法人化の後押しをしていますから。
加工品について詳しく聞きたいのですが、梅とネギを扱っているのには理由はありますか?
角田って梅花の里って呼ばれているほど梅が有名※で、昔はどこの家でも庭先に梅の木を植えていたんですよね。それで、各々が自家製の梅干しを作ってそれを食べたり、分け合ったり。そういった歴史が角田の地にはあって、そこにうちが目を付けて地域の方々をパートで雇いながら加工を始めたのが始まりです。
ネギは経営を考えた時に角田の気候なら年中作付けでき、収入も安定すると思い始めたそうです。一年間ずっと出し続けられる作物って実はあまり多くないんですよ。
今では、「ネギ祭り」というイベントの開催や加工品の「ネギ彦くん」の開発ができる程になりました。
※角田市の梅干しについて
角田の梅干しは塩分濃度が高いため、武将が保存食として使用していた歴史があり、無添加で長期保存ができる昔ながらの製法で有名です。
ご自身のお名前も使われている「ネギ彦くん」の制作に取り組んだ経緯を教えてください
ネギの生産をしていく中で規格外品がどうしても出てくるので、なるべくロスを少なくし利益に繋げたいと思い、開発したのがネギ彦くんです。パッケージには、妻が僕をイメージしてデザインしたキャラクターが描かれています。(笑)
トッピング用の薬味なので、ラーメンや唐揚げ等にトッピングする食べ方がおすすめです。市内の飲食店や道の駅に置かせてもらっているので、ご自身のご家庭でそれぞれ好きな方法で食べてもらいたいです。
今後の目標はありますか?
会社としては、ゆくゆくは僕たち若い世代が経営を行うことになりますし、そういう意識で仕事をしています。宮城県では売上一億円を確立している農業法人を、”アグリビジネス経営体”と呼ぶのですが、世間的に安定した経営体としてみてもらえますし、人材を呼び込みやすくもなるので、そういった法人に成長していくことを目指しています。また併せて、組織の若返りもしたいなと。就農を目指す人がここで農業をやりたいと興味を持ってもらえる法人にしたいと思っています。
最後に就農希望者へ対してメッセージをお願いします
私自身が雇用就農なので、その立場でアドバイスさせていただきますが、農業法人に入りたいという人は個人で直ぐに成功したいというよりは、安定的な生活をしながら自分がやりたい農業を見付けたいと考える人が多いと思います。農業を始める上で、「こういう農業をしたい!」という具体的な考えが無くとも、農業に携わり、学びながら徐々に自分に合ったものを見付けてもらえれば良いかなと個人的には思います。雇用就農を目指すなら特に気負って準備する必要はあまり無く、まずは興味があるという位で良いのではないかなと。
農業に興味を持って、体験してもらうことが一番大事だと思っているので、繰り返しになりますが、まずは農業法人なりに入って、農業を学び、体験し、そこから自分なりの農業を目指してくやり方も考えてもらえればと思います。