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角田市農業振興公社  〒981-1505 宮城県角田市角田字大坊41
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果樹 吉川 一利さん

地域おこし協力隊から新規就農を目指す
人的・資金的、さまざまなサポートを受け活動

●吉川さんの説明

 吉川一利さんは角田市の地域おこし協力隊として、元々梨園地であった休耕農地の復旧作業をしながら、新規就農を目指しています。(令和4年12月21日現在)
※地域おこし協力隊・・人口減少や少子高齢化などの課題を抱える地方自治体が都市部などから人材を受け入れる制度



吉川さん

新規就農を目指したきっかけを教えてください

私は以前からライフワークで趣味のカレンダー制作をしています。地域の人の笑顔をデザインに取り入れたものなのですが、サラリーマン時代は創作活動の時間が確保できなかったので、趣味との両立が叶う職業に就きたいと考えました。
 農業をしていればその地域の方々のご協力を頂きながら、創作活動ができると考え、農業を選択しました。

角田市を選んだ理由はありますか?

角田市に来る以前は利府町で、就農を目指して地域おこし協力隊として農業活動をしていたのですが、利府町では就農するための理想的な農地が見つからず、様々な梨産地で農地を探した結果、角田市に辿り着きました。
 現在活動している農地は、面積は十分なのですが、何年も休耕状態で、すぐに営農開始できる畑ではなかったため、再び、地域おこし協力隊として、休耕農地の復旧作業をはじめとした地域活動をしながら、就農を目指す活動をしています。地域おこし協力隊は、最長3年間、市の支援を受けながら活動できるため、今から畑の手入れを始めれば、協力隊の任期が終了する頃には良い状態で就農できると思ったためです。
 休耕農地の復旧は、時間も手間もかかりますが、利府町で、学んできた自分の知識や経験があれば、上手くいくのではないかと思えたことも一つの要因でした。
※休耕農地・・現在は利用されていないが、過去に作物が育てられていた土地のこと

地域おこし協力隊制度を活用して良かったところを教えてください


梨木の手入れ

地域おこし協力隊制度は、最長で3年間の活動支援があるので、地域の方々の協力を得ながら、時間をかけて地域に溶け込めることです。資金面の支援があることも心強く、新規就農するうえで心の余裕も生まれます。私自身もそのように段階を経て経験できているので、非常に助かっています。
 活動の中で知り得た方から農機具をお借りしたり、作業の支援をしていただいたり、そういったご協力を頂けることもあるので、色々な方々に支えられて活動できていると感じています。それと、私自身の活動が就農を見据えた休耕農地の復旧作業ということも地域の方々の協力を得ている大きな要因だと思っています。
 田んぼも、畑も放っておくとすぐに雑草が生い茂ってしまうので、所有していらっしゃる方にとっては、作物を栽培しなくても管理はしなければならず、とても大変なことです。
 だからこそ、草刈りするだけでも嬉しく感じて頂けると思いますし、休耕農地を耕せばもっと喜んでくださるのではないかと思っています。
 時間をかけて地域に溶け込みながら、経験、段階を踏んで就農を目指せる協力隊は私的にはおすすめですね。
 作物を育てるのに適した土地なのかという点はもとより、暮らしやすさという観点もやはり大事な要因の一つです。地域に馴染んでいかなければ、やはり暮らしていけないですからね。

復旧作業をする中で意識していることはありますか?

角田には梨農家さんが大体10名程いらっしゃるのですが、それぞれの方に栽培技術と畑づくりに個性があり、いつも教えて頂いています。復旧作業をする中で、先輩方の個性ある技術と現在の私の技術を掛け合わせ、より良い梨を作れるように、農地の復旧と栽培技術の向上を日頃から考えています。
 また、梨にも規格というものがあるので、薬剤散布の種類や回数も販売の規格に合わせて、減農薬使用するなど試行錯誤しながら栽培しています。正しい規格で出荷していくことがとても大切ですので。

角田の梨はスーパーでの販売が多いのですか?


梨畑

出荷は農協にして、そこから生協で販売されています。新規就農者でもJAの部会に所属して規格さえ揃えていれば農協に出荷できるので、安心して取り組めると思います。まずは農協出荷からスタートするのが常道です。
 個人的には、いずれ直売所で販売も行っていきたいと考えています。現状の畑だけではなく、耕作農地を集約しながら栽培規模を拡大し、直売所を一から建てたいです。それと併せて、この産地も高齢化が進んでいますので、新規就農者を育成する受け皿になる場所を作りたいとも思っています。
 あくまで構想段階ですが、そのように展開していければ、自分以外の協力隊が来た時に人材を受け入れることができますし、地域にとっても、農業を志す方にとっても、可能性は広がっていくのではないかと思っています。

コミュニティは大事ですね、そういった場所が出来るのは楽しみです

私はまだ若いですが、体力、気力が減ってくると、農産品についてレクチャーする余力も少なくなってしまう側面が出てくるかもしれません。今後の進みゆく高齢化社会に備え、今、準備できる内に沢山学ばせていただき、その経験を次世代へ繋いでいけるような場所をいずれは提供できればいいなと考えています。

今後の目標や展望はありますか?

1つ目に畑の復旧。2つ目に倉庫や直売所を作ること。3番目が農地拡大、4番目にキャンプ場の造成です。キャンプ場については、これは本当に最終着地点と捉えています。果樹園のキャンプ場であれば、もしかしたら梨の剪定枝を薪として、再利用できる可能性もあるのでとても楽しみです。
 ですが、まずは1つ目の畑の復旧を進め、着実に目標へと歩んでいきたいと考えています。

農家を目指している方に向けてアドバイスをお願いします

私は技術を学ぶ期間は長い方がいいと基本的に思っています。土台をしっかり作れば、自ずと稼げるようになると考えていますので、就農前にきちんと勉強を積み重ね、基礎を習得した上で経営していくことが一番いいと思います。
農業は学び試し失敗して…、のサイクルではありますが、このサイクルが最短で1か月単位。扱う品種によっては1年単位ですので、失敗を生かして次に繋げるための期間が長い、できるだけ失敗は少なく、軽度のものにするには、基礎が大事です。
 梨の場合は、木は1本1本の硬さも生える角度も違いますし、それを見極めるには数をこなさないと理解が難しい。
 だからこそ、準備期間を設けて基礎をしっかり作ることは大いに意義のあることだと思いますので、ぜひ就農前に色々な経験を積んでもらえたらと思います。




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